シームカービング

研究背景・目的

 近年,ディスプレイの多様化により様々なサイズの画像が必要になっている.そのため,画像サイズを変更する技術の需要が高まってきている.今までにも,スケーリングやクロッピングなどの手法が開発されてきた.しかし,それらの従来手法では,画像中のオブジェクトなどに歪みが生じてしまうことがあり,効果的なサイズ変更が可能であるとは言い難い.画像の効果的なサイズ変更を行うには,画像の内容まで考慮する必要がある.  そこで,シームカービングという新たな手法が提案された.この手法を用いることによって,オブジェクトなど,画像中の重要な部分の形状を維持したまま画像のサイズ変更を行うことができる.

概要

 シームカービングによってどのようにサイズ変更が行われるかを簡単に説明する.  まず,画像のエネルギー関数を求める.エネルギー関数とは,画素の重要度を表す指標であり,例えば,海や空などの色変化が少なく冗長な部分は,エネルギー関数が小さいと判断される.反対に,人物や車などの色変化が激しい部分は,エネルギー関数が大きいと判断される.このエネルギー関数をもとに,シームーカービングを行っていく.  次に,シーム(縫い目)の探索を行う.今回は,画像の横サイズを小さくする場合を考える.まず,画像の上端の画素に着目し,その画素の左下,真下,右下の画素からエネルギー関数が最も低い画素を選び出す.さらに,選び出した画素において同様に下3方向の画素からエネルギー関数が最も低い画素を選び出し,これを画像の下端まで繰り返す.この際,画素ごとのエネルギー関数を累積的に加算しておく.これを,画像上端の全ての画素について行い,その中から最もエネルギー関数の合計が小さい経路をシームとし,その経路の画素を削除することで,横サイズが1画素分小さくなる.これらの処理を繰り返すことによって,指定したサイズまで画像を小さくする.

従来手法との比較

 下のポスターに,従来手法とシームカービングの処理結果の比較を示した.従来手法では,処理後にオブジェクトの形状に歪みが生じてしまっているが,シームカービングでは,オブジェクトの形状を維持したままのサイズ変更に成功している.

動画像への応用

 今回紹介したシームカービングは,動画像にも応用することができる.空間方向のサイズ変更はもちろん可能だが,さらに,時間軸方向に適用することでフレーム数を減少させ,ダイジェスト映像を自動生成する手法なども提案されている.

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Last-modified: 2016-06-17 (金) 08:58:27 (2870d)